CO2レーザー加工機(カッター)の仕組み
CO2レーザー加工機の内部構造は、30Wレーザー管を持つbeamoでも、40W/50Wレーザー管を持つBeamBox/Pro、60Wレーザー管を持つHEXAでも筐体の大きさは異なりますが、基本的に同じ構造となっています。
beamoの内部構造
HEXAの内部構造
レーザーが出力されるまで(光路)
レーザー加工機の目的は、高出力のレーザー光を材料表面に集中させることにあります。材料はレーザーの高エネルギーを吸収した後、即座に加熱または気化されます。
CO2レーザー加工機の本体後部にはレーザー管が設置されており、ここで発生したレーザー光が3枚の反射鏡を経由して(反射して)、最後に特殊なレンズで焦点を絞られ、光の最も細くなった部分が材料に照射されます。このレーザー光の照射は、加工軸であるXY軸の動きと連動してON/OFFされることで、自由な形に彫刻/カットすることができることになります。
レーザー出力に関係するもの
レーザー管
レーザー管は、CO2ガスをガラス管内に封入し、レーザー管の両端に電圧をかけてガスを励起して波長10.6μmのレーザーを生み出します。レーザー管の端部から光を射出する際には、直径5mm程度の平行光となり、この平行光はほとんど直進するため少ないエネルギー損失で伝送されます。レーザー管は水冷式で、照射駆動時には冷却のために精製水が常に循環しています。
反射鏡
機械の内部には3つの反射鏡があり、第一反射鏡は固定されていますが、第二反射鏡はX軸レール、第三反射鏡はレーザーヘッドに取り付けられています。そのため、レーザー光の照射位置は、加工エリアの任意の場所に移動させることができます。第二反射鏡はY軸上の奥から手前に移動し、第三反射鏡はX軸上の左右に移動します。
フォーカスレンズ
3回目の反射の後、レーザー光は材料表面に向けれます。より高いエネルギー密度を実現するために、レーザーヘッド内のフォーカスレンズは直径5mm程度の平行光を直径0.2mm程度に集束させます。レーザー光の焦点を適切に合わせれば、材料を瞬時に燃焼させるのに十分な力を発揮します。
排気と加工中のエアー吹付
ドアカバーを閉じると、本体加工部はエアフローのための隙間を除いて閉じた空間となり、背面にあるファンが回ることで内部の空気を外に排出します。CO2レーザー加工機では、材料により加工中にガスや煙が発生するため、排気は重要となります。また、レーザー加工は基本的に材料を融解/燃焼させて加工するため、消炎のために加工部にエアポンプからのエアーを吹き付けながら加工します。エアー吹き付けすることで消炎されると共に加工部分がきれいになります。
加工エリアの中のハニカムボード
レーザーが照射される部分にはハニカムボードが設置されています。この板には極力設置面積を減らす構造になっています。これは、レーザーの跳ね返りを極力減らすためです。レーザーの跳ね返りがあると、意図しない跳ね返り部分に加工がなされることがあるため、カット時に跳ね返りをなくすために材料そのものを少し浮かせてやることもあります。
軸モーター
レーザーヘッドは、加工中にXY軸方向に移動します。そのためのモーターがX軸とY軸に設置されており(オートフォーカス付きの場合はZ軸にもついており、自動でレーザー焦点距離を合わせてくれます)、タイミングベルト経由で駆動することでレーザーヘッドの位置を動かします。モーターにはステッピングモーターという1.8度単位で回転角度を決めることができるパルスモーターが使われており、何度回転させれば軸方向にどのくらい動くかあらかじめ分かっているため、絶えずパルス信号を送って回転させることでXY方向の位置決めがなされます。
デザインを加工機に送る
Beam Studio
デザインや写真をレーザー加工機に送るために、PCソフトである無料でダウンロードできるBeam Studioがあります。このソフトはFLUXのCO2レーザー加工機に共通で、現在繋がっている機種によって加工エリアサイズが変わります。材料位置は、現在の加工エリアをレーザーヘッドに備え付けられているカメラで撮影することで、ソフト上で確認できるため、加工したいデザインを材料に合わせてあげるとすぐに加工ができます。また、彫刻、またはカットするレイヤーを追加することで、デザインごとに細かく加工出力/スピードを設定することができます。