レーザー加工機の安全性とクラス

July 22  2024

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卓上型レーザー加工機は、カット厚さ、加工エリア、彫刻速度などの多様なニーズに対応し、さまざまな特性を持つ加工機が普及することでクリエイティブ分野に革命をもたらしました。「最適なレーザー加工機を見つけるためには1~3」で説明したように技術的な面から考えることは多くあります。

しかしながら、もちろんレーザー加工機を導入するにあたっては、操作性や機能性に基づいた選択肢だけ見ていればよいわけではありません。レーザー加工機の特性上、安全性ということも重要な考慮事項の1つとなります。レーザー加工機は、レーザー照射により材料を熱エネルギーで加工するプロセスであるため、レーザー光放射や燃焼のリスクが付き物だからです。

道具というものは、効率性や生産性向上が見込めるから使用するものです。道具としてのはさみを使う理由は、手で紙をちぎるよりもきれいに早く切れることを期待しているからですが、使用に際して当然のことながら安全性も見込んでいるはずです。使用している途中ではさみが分解したり、刃で傷つくことが見込まれるならば、はさみを使おうとは思わないはずです。レーザー加工機も同じです。

個人で使うにせよ事業で使うにせよ、安全性は重要項目で、レーザー加工機を導入する際に意思決定プロセスの指針となります。安全性を考える上で、最も大きな視点はレーザー部分と加工部分が暴露されているか、中と外が切り分けられているかどうかです。レーザー加工機には、加工エリア周りを筐体で囲った密閉型とそうでない開放型があります。安全性において、密閉型/開放型どちらのレーザー加工機であるかは導入する際に差別化する要因となり得ます。

レーザー加工機における開放型と密閉型の違い

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開放型レーザー加工機とは

開放型レーザー加工機は、一般的に駆動機構とレーザー機構のみの加工機です。加工対象材料の上に置いて使用することができ、加工エリアにアクセスしやすく、加工プロセスを容易に観察することができます。

長所

可視性の向上
レーザー加工状況を直接観察できるため、調整が即座にできます

容易なアクセス
材料配置や取り外しが簡単にできます

費用対効果
一般的に開放型は密閉型よりも安価です

短所

安全リスク
注意を払わないと、レーザー光線への露出が高くなるリスクがあります

環境への暴露
レーザー、材料、加工中に発生するものが周囲環境にさらされるため、操作に影響を及ぼす可能性があります

騒音
加工音がそのまま出るため、騒音に敏感な環境では注意が必要となります

開放型レーザー加工機の利点は?

開放型レーザー加工機は、特定用途に独自の利点を発揮します。材料の大きさや形状に関係なく加工できることの多い開放型レーザーは、より大きな材料、もしくは不規則形状の材料を必要とするプロジェクトに使い勝手と適用性の点で理想的です。高度なワークショップ、大規模な芸術的インスタレーション、研究環境など、精度とカスタマイズ性が最優先される環境のユーザーは、開放型レーザー加工機がそのニーズを効果的に満たします。

密閉型レーザー加工機とは

密閉型レーザー加工機は、駆動機構やレーザー機構を囲む保護筐体を持つことを特徴としています。加工材料サイズは限定されますが、安全性が高いのが特長です。

長所

安全性向上
密閉型は、蓋や扉が閉じた状態でのみ動作するインターロック機構により、レーザー光への偶発的な露出から人体を保護します

騒音と煤煙の制御
騒音を抑制し、塵や煙が漏れるのを防ぐため、作業環境の清潔さと安全性が向上します

空気質向上
加工エリアに統合された排気システムにより有害ガスや粒子をろ過します

短所

サイズと設置環境
密閉型は一般的に設置面積が大きく、より広いスペースを必要とするため、小規模な作業場では設置が難しい場合があります

アクセス性と可視性
密閉型は、セットアップやメンテナンスのためのアクセスを妨げ、視界が悪くなり、モニタリングに影響を与える可能性があります

放熱
密閉空間は熱がこもりやすいため、オーバーヒートを防ぐための堅牢な冷却システムが必要になります

材料の制限
加工エリアに入る材料に限定されるため、材料サイズや種類が制限され、大幅な改造を行わないと加工柔軟性が制限されます

密閉型レーザーの利点は?

密閉型レーザーは、安全性と周辺環境への影響を抑えることが重要な環境に適しています。安全と規制遵守を優先する教育機関や事業体に最適です。密閉型レーザー加工機は、有害なレーザー放射露出を最小限に抑え、静かにかつクリーンに動作するように設計されており、優れたユーザー体験を提供します。学校、図書館、コミュニティのメーカースペースなどでは、あらゆるスキルレベルのユーザーがレーザー技術を活用することになるます。密閉型レーザー加工機は、スキルレベルに関係なく安全かつ効果的に使用できるようにする機能を提供します。

正しいレーザー加工機の選択 密閉型と開放型

密閉型と開放型のどちらを選ぶかを決めるときは、安全性、設置エリア、プロジェクト種類に関する要件を考慮してください。密閉型は、教育現場、小規模企業、最小限のセットアップでユーザーの安全を優先する分野に最適です。一方、開放型は、大規模プロジェクトで柔軟性とアクセス性のよさを求めるユーザーに適しています。どちらにするかの選択は、主に運用ニーズと環境に依存します。

レーザー製品の安全性に対する分類

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クラス1レーザーとは

クラス1レーザーは、「JIS C 6802 : 2014 レーザー製品の安全基準」によると、最も安全なタイプのレーザーに分類されます。通常の動作条件下では、使用者や傍観者にとって有害なレベルの光を発しないように設計されています。一般的に、これらのレーザーは密閉されており、密閉によって有害なレーザー放射への暴露が防止されるため、厳しい安全対策を必要とする環境で好まれることが多いです。

JISレーザー分類

日本産業規格JIS C 6802ではレーザー製品を8つのクラスに分類しています。JIS C 6802 : 2014は、国際規格IEC 60825-1:2014に準拠しており、現行IEC 60825-1は第3版で、第4版は2026年1月(予定)に発行される見込みです。 クラス分類は、異なるレーザーに必要な予防措置レベルや、なぜクラス1がより安全で管理された環境に理想的なのかをユーザーが理解するのに役立ちます。

JIS C 6802 : 2014 レーザー製品の安全基準
附属書C クラス及び付随する潜在的危険性に関する説明
C.2 クラスに関する説明より抜粋

クラス1

「クラス1レーザ製品は,直接ビーム内観察を長時間行っても,またそのとき,望遠光学系を用いても安全であるレーザ製品である。クラス1は,用いるときに危険性のある放射を被ばくすることのないように完全に囲われた高出力レーザ(組込形レーザ製品)も含む。可視の光エネルギーを放射するクラス1レーザ製品をビーム内観察すると,特に周辺が暗い環境では,目がくらむなどの視覚的な影響が依然として生じ得る。」
例:レーザープリンターやCD/DVDプレーヤーなど

クラス1M

「クラス1Mレーザ製品は,裸眼(光学器具を用いない。)で,直接ビーム内観察を長時間行っても安全であるレーザ製品である。測定条件3で規定する測定用の開口直径(表10参照)よりも大きな直径をもつ平行ビームに対しては,双眼鏡のような望遠光学系を用いた露光は,MPEを上回り,目の障害を引き起こす可能性がある。」
クラス1M及びクラス2Mにおける“M”の由来は,拡大用光学観察器具(magnifying optical viewing instruments)である。

クラス1C

「クラス1Cレーザ製品は,医療,診断,手術,又は脱毛,しわ取り,にきび取りのような美容への用途として,皮膚又は体内組織にレーザ光を直接照射することを意図したレーザ製品である。出力するレーザ放射は,クラス3R,クラス3B又はクラス4のレベルの場合もあるが,一つ以上の技術的手段によって目への露光を防止するものである。皮膚に対する露光レベルは用途に依存するので,その特徴は製品安全規格で包含する。これらの製品は近年,市場に出回っており,クラス3R,クラス3B又はクラス4のレーザ製品に適用する通常の安全防護対策ではこれらの製品には適さないという理由で,クラス1Cをこの規格に盛り込んだ。」
クラス1Cにおける“C”は,アプリケータ(レーザ出射部)が皮膚又は体内組織に接触する(contact)又は非常に近接する(close)場合にだけ,クラス1のAELを超えるレーザ放射が出力できるという操作モードである。

クラス2

「クラス2レーザ製品は,400 nm〜700 nmの波長範囲の可視光を放射するレーザ製品であって,瞬間的な被ばくのときは安全であるが,意図的にビーム内を凝視すると危険なレーザ製品である。0.25 sの時間基準は,クラスの定義に内在している。これは,多少長めであっても,瞬間的な被ばくによって障害が生じるリスクは非常に小さいという推定に基づいている。
例:レーザーポインターや照準装置など

クラス2M

「クラス2Mレーザ製品は,可視のレーザビームを出射するレーザ製品であって,光学器具を用いない裸眼に対してだけ短時間の被ばくが安全なレーザ製品である。測定条件3で規定する測定用の開口直径よりも大きな直径をもつ平行ビームに対しては,双眼鏡のような望遠光学を用いた露光は,MPEを上回り,目の障害を引き起こす可能性がある。」

クラス3R

「クラス3Rレーザ製品は,放射出力のレベルが,直接のビーム内観察条件に対してMPEを超えるものの,AELがクラス2のAEL(可視レーザの場合)の5倍又はクラス1のAEL(不可視レーザの場合)の5倍であることから,障害が生じるリスクが比較的小さいレーザ製品である。」
クラス3Rにおける“R”の由来は,例えば,キースイッチ,ビーム終端器又は減衰器,及びリモートインタロックコネクタを不要とするなど,製造業者及び使用者への要求事項の削減(reduce)又は緩和(relax)である。
例:民生用レーザー水準器や銃の照準器など

クラス3B

「クラス3Bレーザ製品は,目へのビーム内露光が生じると(すなわち,NOHD内では),偶然による短時間の露光でも,通常危険なレーザ製品である。拡散反射光の観察は通常安全である。クラス3BのAEL近傍のクラス3Bレーザは,軽度の皮膚障害又は可燃物の点火を引き起こす可能性がある。ただし,これはビームの直径が小さいか,又は集光したときだけに起こり得る。」
クラス3Bにおける“B”は,この規格の旧版であるJIS C 6802:1997において,現在のクラス1M及びクラス2Mに類似する意味をもっていた,クラス3Aというものが存在していたという歴史的な経緯に由来している。
例:科学レーザーや医療レーザーなど

クラス4

「クラス4レーザ製品は,ビーム内の観察及び皮膚への露光は危険であり,また拡散反射の観察も危険となる可能性があるレーザ製品である。これらのレーザは,場合によっては火災の危険性が伴う。」
例:レーザー切断、溶接、その他の産業用アプリケーションなど

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なぜクラス1レーザーが重要なのか

クラス1レーザーは、有害な放射線への暴露を防ぐために完全に密閉されており、レーザーの安全性において最高水準にあるからです。この分類は、教育機関、共同作業場、専門家以外が頻繁に出入りする場所など、安全性が最優先される環境では特に重要です。クラス1レーザー固有の安全性は、偶発的な被ばくを防ぐだけでなく、規制準拠を容易にし、安全トレーニングや保護具の必要性を最小限に抑えます。

その信頼性の高い安全機能により、FLUXレーザー加工機は、ユーザー保護を最優先する環境において、レーザー技術の幅広い採用を促進する上で理想的な製品となっています。FLUXでは筐体のあるレーザー加工機である、Ador、beamo、Beambox(Pro)、HEXAがクラス1レーザー加工機です。

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安全の秘訣

定期メンテナンス

FLUX レーザー加工機を定期的に点検整備し、すべての安全機構が作動するようにするために日々メンテナンスが必要です。安全上のリスクをもたらす可能性のある故障や損傷がないか定期的に点検してください。

作業後の清掃

レーザー加工作業が完了したら、加工エリアから埃を徹底的に取り除くことが重要です。定期的に清掃を行うことで、可燃物が放置されることによる火災の危険性を最小限に抑えるだけでなく、空気の質を維持し、潜在的に有害なガスや粒子からユーザーを保護します。 この習慣は、作業環境の安全性を高めるだけでなく、邪魔なゴミがない状態を保つことで、機器の寿命を延ばすことにもつながります。

適切な換気

レーザー加工は、煙やガスを発生させることがあるため、室内放出するならば空気を浄化する効果的な換気システムが必要です。FLUX Beam Airシリーズは、この目的のために特別に設計されており、ワークスペースの空気の質を大幅に改善するろ過システムを備えています。

あなたのデザインをもっと多くの人に

レーザー加工用ファイルのデジタルマーケットプレイスであるDESIGN MARKETに作品をアップロードして、あなたのストアをオープンしてみてください。あなたの素晴らしい作品を収益化する素晴らしい方法です。

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