最適なレーザー加工機を見つけるために
2.考慮すべきポイント
June 24 2024
レーザー加工機を選定するにあたって考慮すべき事項は数多くありますが、考慮すべき事項は大きく2つに分けられます。「加工に関する事項」と「加工以外に関する事項」です。
「加工に関する事項」は、どのような材料を、どのくらいの速さで、どのくらいの深さまで加工できるかなどの事項であり、「加工以外に関する事項」は、価格面でコストパフォーマンスがよいか、メーカーサポートは充実しているかなどの事項です。
ここでは「加工に関する事項」について、次の重要な3つのポイントについて解説します。本記事の前に、「最適なレーザー加工機を見つけるために1.レーザーの種類を知る」を読まれることをおすすめします。
考慮すべき3つのポイント
1.加工対象の材料素材はなにか
2.加工対象のサイズ
3.加工する深さ(彫刻、カット)
1.加工対象の材料素材はなにか
すでに加工材料から見た各レーザーの特長で言及したように、レーザーの種類によって加工できる材料、加工できない材料があります。また、同じアクリル板でも押出しとキャストなどの材料製法の違いや、異なるレーザーの種類を使った金属彫刻などで仕上がりが変わることがあります。
自分の加工する材料種類が将来的に増えそうであり、金属彫刻をあまりしないのであれば、加工材料の種類が相対的に多いCO2レーザー加工機が1つの選択肢となります。beamoであれば、金属彫刻が可能となるダイオードレーザーに換装できるオプションもあります。
木材、竹、レザー、布、紙、段ボール
木材、竹、レザー、布、紙、段ボールの加工例
木材、竹、レザー、布、紙、段ボールは、すべてのCO2レーザー、ダイオードレーザーで加工することができます。レーザー出力によって加工深さは変わりますが、基本的にどのレーザー加工機を使っても彫刻/カットすることができます。
木材、竹、レザー、布、紙、段ボールが加工できるレーザー加工機
CO2レーザー加工機: beamo(30W), Beambox(40W), Beambox Pro(50W), HEXA(60W)
ダイオードレーザー加工機: Ador(10W/20W), Lazervida(10W)
透明系アクリル、白系アクリル
透明/白系を含むアクリルの加工例
透明/白系を含むアクリルは、CO2レーザーでのみ加工できます。アクセサリなどでアクリルを加工される方は特に注意してください。透明/白系を含むアクリルを加工される際にはCO2レーザーを選択してください。
透明/白系を含むアクリルが加工できるレーザー加工機
CO2レーザー加工機: beamo(30W), Beambox(40W), Beambox Pro(50W), HEXA(60W)
黒アクリル
黒アクリルの加工例
黒アクリルは、すべてのレーザー加工機で加工できます。ただし、レーザー出力によってカットできない場合がありますのでご注意ください。
黒アクリルが加工できるレーザー加工機
CO2レーザー加工機: beamo(30W), Beambox(40W), Beambox Pro(50W), HEXA(60W)
ダイオードレーザー加工機: Ador(10W/20W), Lazervida(10W)
赤外線レーザー加工機: Ador(赤外線モジュール、彫刻のみ)
ガラス
ガラスの加工例
ガラスは透明系アクリルと同様にCO2レーザーでのみ加工できます。また、ガラスには彫刻加工のみ適用できます。グラスやボトルに加工される方はご注意ください。
ガラスが加工できるレーザー加工機
CO2レーザー加工機: beamo(30W), Beambox(40W), Beambox Pro(50W), HEXA(60W)
ゴム、セメント、石
ゴム、セメント、石の加工例
ゴム、セメント、石は、CO2レーザーとダイオードレーザーで加工できます。これらには彫刻加工のみ適用できます。
ゴム、セメント、石が加工できるレーザー加工機
CO2レーザー加工機: beamo(30W), Beambox(40W), Beambox Pro(50W), HEXA(60W)
ダイオードレーザー加工機: Ador(10W/20W), Lazervida(10W)
ステンレス、アルミアルマイト
ステンレス、アルミアルマイトの加工例
ステンレスとアルミアルマイトは、CO2レーザー、ダイオードレーザー、赤外線レーザーで加工することができます。ただし、ステンレスをCO2レーザーで加工する際には加工前に特殊スプレーで塗装する工程が必要となります。アルミアルマイトはどのレーザーでも表面の酸化膜を削り取ることができます。これらには彫刻加工のみ適用することができます。beamoのみオプションでダイオードレーザーに換装することができます。
ステンレス、アルミアルマイトが加工できるレーザー加工機
CO2レーザー加工機: beamo(30W), Beambox(40W), Beambox Pro(50W), HEXA(60W)
ダイオードレーザー加工機: Ador(10W/20W), Lazervida(10W)
赤外線レーザー加工機: Ador(赤外線モジュール、彫刻のみ)
各種金属
金属の加工例
鉄やチタンなどの金属は、酸化被膜を削り取るなどを除くと、基本的に赤外線レーザーでのみ加工できます。これらには彫刻加工のみ適用できます。
鉄、金、銀、銅、チタン、アルミが加工できるレーザー加工機
赤外線レーザー加工機: Ador(赤外線モジュール、彫刻のみ)
注意:レーザー加工においてリスクがある加工素材
ステッカー、薄いフィルム、または透明なシートでよく見られるポリ塩化ビニル(PVC)は、焼けることで、発癌性物質や健康に害のある腐食性ガスが発生します。また、ABS樹脂は、焼けが不完全なときに発癌性物質が発生するおそれがあります。学名に塩素、ベンゼン、アンモニア、フッ素、フェノール、アルデヒドが入っている、または分子式にベンゼン環があるプラスチック類は、焼けると発癌性物質や有毒物質が発生するおそれがあります。
2.加工対象のサイズ
加工対象物の大きさはレーザー加工機を選択する際にダイレクトに影響します。加工対象物が筐体に入らなければ加工できず、入ったとしても対象物上で加工したい部分が加工可能サイズよりも大きければ加工できません。
木材やアクリルなどのカット加工をする際は、加工物を置くハニカムボードや底板からのレーザー跳ね返りで余分な部分に焼けが入ってしまうため、コーンスペーサー(CO2レーザー加工機用)や三角ブレード(Ador用)を使って加工物を浮かせる必要があります。そのため、その分の高さも考慮に入れる必要があります。
3.加工する深さ
レーザー加工は、彫刻とカットの2種類の加工を施せます。加工物を貫通しないのが彫刻加工、貫通するのがカット加工となり本質的には同じです。彫刻加工であればどのくらいの深さまで削り取りたいか、カット加工であればどのくらいの厚さまでカットしたいのかを考慮してレーザー加工機を選択する必要があります。
この加工する深さを決めるのは、レーザー出力(ワット数)と加工速度になります。基本的にレーザー出力は強い方が深く加工でき、「大は小を兼ねる」ことができます。出力の大きいレーザー加工機は出力を絞ることでレーザー出力を弱めることができるからです。レーザー出力を常にフルパワーで加工すると、レーザー加工機の寿命を縮めることに繋がるので、余裕をもったレーザー出力の加工機を選択することも重要です。
加工深さは、決められたレーザー出力が加工対象の特定位置に対してどれくらいの時間レーザー照射されたかで決まります。そのため、加工深さは加工速度にも影響を受けます。どれほど強いレーザー照射でも一瞬で通り過ぎれば、加工対象は燃焼せず、どれほど弱いレーザー照射でも動きが遅ければ燃焼することもあるからです。
結果的に、レーザー加工機の最高ヘッドスピードがそのまま加工時間の短縮に直結するわけではありません。ただ、マーキングのように深さがそれほど必要でない加工でレーザー出力に余裕があれば、加工速度は速い方が有利です。(加工の綺麗さと加工速度もまたトレードオフの関係にあります)
レーザー出力の高いレーザー加工機は、加工物を燃焼させる高いエネルギーを持つので、より深く加工できます。大量生産するなど、加工のリードタイムを早くしたい場合は、レーザー出力に加えて加工速度が速いレーザー加工機を選択するべきです。
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